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作業療法士 近藤慶一さん

プロフェッショナルアドバイス

メンタルマネジメントの最前線で活躍する専門家へインタビュー。うつ病を抱えながら働く人のためにプロならではのノウハウをアドバイスしてもらう。


第一回:作業療法士 近藤慶一さん

『疲労は脳の敵。10やるところを5で抑える。』

 

 
~うつ病を抱えながら働く人へのアドバイス~
 
メンタルヘルスのプロにインタビュー。
 
うつ病を抱えながら働く人に
現実的で役に立つ習慣やノウハウを教えてもらうこのコーナー。

多くのうつ病患者と接し、
現場を知るプロフェッショナルだからこそできるアドバイス。

記念すべき第一回目は、
リハビリ医療の国家資格である、
作業療法士の近藤慶一さんにお話をうかがいました。


-うつワーカーのノウハウ情報局(以下、情報局)
はじめまして、
今日はよろしくお願い致します。


-近藤慶一さん(以下、近藤)
こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。


-情報局
まず始めに、基本的なことなんですが、
作業療法士とはいうのは、
いったいどんなことをなさっているのでしょうか。


-近藤
そうですね。
確かに耳慣れないかもしれません。
作業療法士とは、国家資格を取得した
リハビリ医療の専門家です。

患者さんの生活に寄り添って、
病前の状態に近づけて行く役割をになっています。

体だけではなく、
心の病気にかかった方の
リハビリもおこなっているんですよ。



-情報局
具体的には、どんなリハビリをされるのでしょうか。


-近藤
患者さんに合わせて、
本当に幅広い訓練をおこないます。

訓練といっても、
アクセサリー作りや油絵、
園芸、縄細工、陶芸などの創作活動や、
運動療法といって、
バレーやソフトボール、
サッカーや縄跳びなどに取り組むこともあります。

症状が重い人には、
おせんべいを箱に詰めるといった
簡単な作業から始めます。

ただ作業所に来て座って帰るだけであったり、
しっかり休息をとるということも、
立派なリハビリになります。

まずは、体の緊張をとることに、
重点を置いていますね。

服薬の管理や、
ご家族にうつ病患者への
対応の仕方をお教えすることもありますよ。 
 
 
-情報局
作業療法士さんとうつ病患者の方が、
出会う場とはどんなところがあるのでしょうか?


-近藤
通常は病院ですね。

大きい病院では、入院した時。

クリニックなどでは、
「精神科訪問看護」といって、
患者さんの自宅にうかがう時にお会いします。

ただ、この場合は、
うつ病を抱えながら働く方というよりは、
長期療養中の方や外出が困難な方になってしまいますね。

私のように独立して、
病院を通さずお会いできる立場の
作業療法士というのはとても珍しいと思います。
 


-情報局
作業療法士の近藤さんのご経験から、
うつ病患者の方に、これだけは
取り組んだ方がいいという習慣はありますか?


-近藤
やはり、体を動かすことですね。

といっても、無茶をしない、
休息をしっかりとるということが
大前提になります。

体を動かすことは、
家の外に出るきっかけにもなります。

運動も太陽の光を浴びることも、
セロトニンを増やすことにつながります。

うつ病の大きな原因の一つに、
セロトニンの不足があげられています。

ウォーキングやキャッチボールなど、
簡単な運動でかまいません。

方法を間違わずにおこなえば、
セロトニン神経の活性トレーニングにつながります。


 
-情報局
セロトニン神経のリハビリは、
どの作業療法士さんでも対応できるのでしょうか?


-近藤
基本的なことはできると思いますが、
専門の訓練を受けた作業療法士は
本当にごくわずかしかいないのが現状です。

私も、セロトニントレーニングの
専門訓練を受けた一人です。


-情報局
そうなんですね。
リハビリとセロトニンの専門家として、
うつ病の方がこれだけはしてはいけないという
習慣があれば教えてください。


-近藤
繰り返しになりますが、
無茶をしないことです。
10やるところを5で抑える習慣を身につけることが大切です。

疲労はセロトニンの敵なんです。

あと、やはり食事の習慣ですね。
スナック菓子を習慣的に食べることはオススメできません。
内臓にも負担がかかってしまいますからね。
 
 
-情報局
今までのご経験で、
うつ病が回復していく人に
共通する傾向があれば教えていただけますか。


-近藤
しつこいようですが、無茶をしない人です(笑)
あとは、素直な人でしょうか。

リハビリに素直に
取り組んでいただければ、
あとはプロである私たちが、
患者さんの良いところをどんどん引き出すことができます。


 
-情報局
逆に、回復がうまくいかない人の共通点はありますか?


-近藤
ご家族の協力を得られない方や、
ご家族との距離感がうまくとれない方は、
時間がかかる傾向があります。

だから私は、出来るだけ
ご家族とも会うようにしています。

ご家族の中には、いまだに、

「うつ病は気合が足りないだけだ」

というような間違った考えを
お持ちの方も多いのです。

あと、焦りすぎたり、
期待しすぎてしまう方も、
逆に時間がかかってしまうことが多いですね。


 
-情報局
最後に、
良い作業療法士さんに出会うには、
どうしたらいいか教えてください。


-近藤
地域包括支援センターや、
地元の保健士さんに相談してみるのが一番早いと思います。

紹介された先のブログなどがあれば、
活動内容を確認してみてください。

熱心にやっているところは、
研究会などもしっかりやっています。

もちろん、こういった場所で
リハビリに取り組むためには
精神科での受診ありきになります。

もし直接、
作業療法士に相談なさりたい場合は、
独立して活動している作業療法士を、
インターネットで検索するしかないかと思います。

ただ、ほとんどいないと思いますので、
私でよければいつでもご相談ください。

定期的にワークショップも開催しています。
気軽に遊びに来てください。


-情報局
今日は、どうもありがとうございました。


-近藤
こちらこそありがとうございます。
 

●プロフィール

近藤慶一(こんどう よしかず)
作業療法士(医療国家資格)、
セロトニントレーナー、 
AEAJ認定アロマアドバイザー、
龍村式指ヨガインストラクター。 
リハビリの専門技術を持つ立場から、 
国際エイブルケアエデュケーション協会の立ち上げに参画。 
世界の介護業界におけるリハビリ技術の普及と向上を推進している。 
多彩な知識と技術を駆使した
ストレスケア講座を『癒しの学びや かぐら庵』にて展開中。 
 
 
<撮影、文:うつワーカーのノウハウ情報局>
<場所:癒しの学びや かぐら庵>