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絡まった糸がほどける - アダルトチルドレンの克服

自由への挑戦 ‐ とことん正直に生きてみた

<著者:ちー>


7.絡まった糸がほどける - アダルトチルドレンの克服

 

┃イネイブラー

 
母の未熟さに気づいたことで、より冷静に母と父との間に歪んだ関係が見えた
 
母はいい人だったが、典型的なイネイブラーではないのか
 
イネイブラーは、アルコール依存症の説明に出てくる、身近にいて依存を悪化させる人物だ
 
他人に尽くすことでしか存在意義をみいだせない
 
そして他者の依存を悪化させてしまう
 
母は病人である父のわがままを受け入れ続けて、冗長させて怪物にしてしまったのではないか
 
父母の関係を自分たち夫婦に置き換えると、自分のことも客観的に見ることができた
 
 

┃親子間共依存

 
母は、家族のために身を粉にして働いていた
 
自分のことを考えずに、家族のために尽くし続けて疲弊していた
 
そういう母の自己犠牲は、私の感情を封じ込めてしまったのかもしれない
 
わがままを言うことで母を困らせたくなかった
 
良い子であることで母を喜ばせたかった
 
喧嘩らしいこともしたことがない
 
そして、母の愚痴の聞き役は私だった
 
私は可哀そうな母を助けられない自分に、罪悪感をもっていた
 
そして、自分だけが幸せになってはいけないと思っていた
 
私は母を基準にすることでしか、自分の存在意義が見いだせていなかった
 
父と母との関係だけでなく、私と母の関係もやはり共依存だった
 
 
自己犠牲は、愛を装った支配だと思う
 
尽くされた側は、感謝しながらも、一生恩義にしばられて生きていく
 
自分も同じように、どこかで犠牲にならなくてはいけない、と思い続ける
 
そう思わなくては申し訳ない、という気持ちになる
 
自己犠牲は、有無を言わせぬ圧倒的な正義で、尽くされた側を抑圧してしまう
 
そして、誰も幸せにしない
 
 
母のことを悪く思ってはいない
 
母はずっと家庭を維持することで精一杯だったのだと思う
 
母は自分の実母を2歳で亡くしている
 
祖父が働いている昼間は柱に紐で縛られていたらしい
 
祖父は後妻に暴力を振るうこともあったという
 
母もそのころの記憶が飛んでいて、腹違いの弟に驚かれている
 
 
私は小さいころからずっと、我慢して頑張る母ではなく、笑っている母を見たかった
 
だから、私は子供のためにも母のためにも、毎日を平和に穏やかに過ごしたい
 
私が求めていた幸せは、昔からただそれだけだった
 
 

┃価値観の偏りに気づく

 
私の生き方は間違っていた
 
私の判断基準は、極端に偏りすぎていて柔軟性がなかった       
 
もっとあいまいで緩やかでよかったんだ
 
私が生きづらい原因は、母譲りの白すぎる価値観と私の思い込みが、見えない敵を作ってしまうことだった
 
自分が正しいと思っている人ほど、たちが悪いとはこのことだ
 
私はもう40年以上も、間違った価値観を貫いてしまった
 
自分は空っぽだと思っていたが、実は気づかない価値観に、ガチガチにしばられていた
 
無意識だった
 
 
こんな私が、他人の価値観や言動について、とやかく言える立場ではない
 
それに気づいた時、父も夫も母もどこの他人も、私の敵ではなくなった
 
みんなどこかを勘違いしていて、未熟なところがあるかもしれないが、精一杯自分と戦って生きている
 
それでいいと思った
 
そして、私を追い詰めてきた、もっと頑張りなさい、強くなりなさい、の呪いは消えていた
 
 

┃問題の解消

 
私が一人で、自分のことにスッタモンダしているうちに、夫の問題行動は修正されていた
 
何も言葉にださなくても、私のただならぬ様子が、思っていることを伝えたのだろうか
 
理不尽な要求や言動がないのであれば、私が離婚する理由はなかった
 
ということは、なに?
 
私は仕事もしなくていいの⁇
 
世間的には受け入れられないであろう、風変りな共同生活も、ある意味個性的で、私らしいような気もしてきた
 
子どもが将来、モラルハラスメントや共依存を引き継いでしまうことが心配だった
 
しかし、私自身が対処できたのだから、子供が解決できないわけがないと思えた
 
要らぬ心配やおせっかいはしないで、子供がもし相談してきたら、その時に一緒に考えようと思った
 
驚いたことに、若いころから抱えていた虚無感もなくなっていた
 
上手くいかないことは沢山あったけど、前に進んでいる納得感があった
 
母と心理的に決別したことで、ずっと4歳だった私のアダルトチルドレンも克服してしまったようだった
 
子どものころから複雑に絡まっていた糸が急にほぐれた
 
自分の気持ちに正直になって、それを改善するために行動していたら、たくさんの問題がいつの間にか消えて無くなっていた
 
キツネにつままれるって、きっとこういうことをいうんだな
 
子どものころから、ずっとザワザワしつづけていた頭の中が、無音になった
 
 
しだいに、自分の好みが変わりだした
 
以前は青や紫がすきだったのに、オレンジや黄色にひかれるようになった
 
好きだった歌の歌詞を邪魔に感じるようになって、クラシックのほうが聞きやすくなった
 
子どもとの会話も、いろんなことが笑い飛ばせるようになっていた
 
あれ?
 
空ってこんなに高くて、青かったっけ?
 
私の奥の深いところで、何かが変わり始めていた
 
<著者:ちー>