うつ病の克服

勝ち組なのに苦しいのはなぜ ~毒親とアダルトチルドレンからの脱出~

<著者:KYO>

3.うつ病の克服

 

│救急車の要請

 
退職後、症状は悪化し、テレビの画面や音を受け入れられず、部屋の明かりすらも苦しく感じて、一日中薄暗い部屋で過ごしていました。
 
時間の感覚も無くなり、苦しみから逃れるために、一瞬でも眠りにつきたくて仕方ありませんでした。
 
アルコールと一緒に服用していた薬も、処方通りでは効かなくなり、数回分を一度にまとめて、やっと数分の眠りにつくことが出来ました。
 
この数分の眠りの為なら、どんな薬の副作用も構わないと、貪るように服用していたので、次の通院予定日までには、当然薬が足りなくなるのです。
 
手元に薬が無くなったある日、苦しくてパニックになりそうで、救急車を呼びました。
 
救急隊の方は、家から一番近い心療内科に連絡をしてくださいましたが、どのような理由かは分かりませんが、その病院は受け入れ拒否でした。
 
こんなに苦しいのに、なんで・・・?と、絶望感で泣きそうになりながらも、これ以上は救急隊の方との会話も苦しくて、そのまま帰ってもらいました。
 
その後、救急で受け入れてくれる病院もあることが分かり、安心しましたが、精神的な病の苦しさを、専門医にも分かってもらえない恐ろしさは、今も鮮明に覚えています。
 
 

│うつ病克服の瞬間

 
手元に薬が無くなった時は、大量のアルコールで苦しさを誤魔化していたので、私のうつ病の大半は、薬とアルコールがセットになっていました。
 
アルコールが飲みたい、という感覚は無く、うつ病の苦しさを軽減させてくれる位置づけでした。
 
薬とアルコールの誤った飲み方で、体重はみるみる増加していき、約3年間の闘病生活で、20キロ以上増えていました。
 
医師の治療の効果もあり、少しずつベッドから起き上がれるようにはなっていました。
 
ただ、薬でろれつが回らず、通院に着ていく服も無くなっていく事に、社会から振り落とされた感覚で、愕然とするのでした。
 
ある晩、部屋の鏡の前で足が止まり、10秒ほど全身を凝視してみました。
 
「わたし、これじゃだめだ」と、その瞬間に、うつ病から自分を取り戻した不思議な感覚が沸き上がり、この晩から薬を飲まないで過ごしました。
 
急に薬を止めた事もあり、暫くは通院をしましたが、この日を境にうつ病の苦しみからは解放され、増え続けた体重も元に戻りました。
 
なぜ急にうつ病から解放されたのかは、自分でもはっきりは分からないのですが、医師から薬とアルコールの併用を厳しく注意され、少しずつでも耳を傾けられた事が大きいと思います。
 
(薬とアルコールの併用は、結果的に、うつ病の回復を遅らせただけだと実感しています。また、薬の服用を急に止めた事は、あくまでも個人の体験ですので、くれぐれも真似をしないようにお願いします)
 
日常生活を取り戻す事は出来ましたが、うつ病経験者で仕事をしていない状況に、不安で恐ろしくなる時もありました。
 
その度に、うつ病の苦しみの恐怖に比べれば大したことはない、と、強く自分に言い聞かせて、その後の数年間は仕事をしないで過ごすことになりました。
 
ただ、世間の目をとても気にしていた私は、パートナーのモラルハラスメントに悩まされる生活を送ることになりました。

 

<著者:KYO>