毒親
勝ち組なのに苦しいのはなぜ ~毒親とアダルトチルドレンからの脱出~
<著者:KYO>
5.毒親
│毒親に出会うまで
パートナーとして生活を共にしていた、モラルハラスメントの彼の元から逃げ出して、自分の家に戻った後、暫くの間は、チャイムの音や、彼の車と同じ車種を見かけては、その場に立ち尽くしてしまうほど恐ろしく、怯えた日々を送っていました。
プライドの高い彼が、ストーカーまがいの行為をすることはあり得ないと分かっていて、事実、そのような事は一度もありませんでした。
それでも、いつ、どこで、彼が現れてくるか分からないという、見えない相手に対する恐怖と緊張感は、とても大きいものでした。
それまで、報道番組等で、ストーカー事件を耳にするたびに、安全に気を付けて、対策をしながら日常をおくれば、そんなに怖がる事はあるのだろうか?と安易に思っていた自分を、心の底から反省しました。
相手の立場にならなければ、分からないことがある、という当たり前の事を、痛いほど思い知ったのです。
そして、日々の恐怖と、緊張感から解放されてきたころ、何気なくつけていたテレビから、子供の人生を支配する親についての会話が聞こえてきたのです。
│毒親だった両親
テレビ画面には、元アナウンサーの女性が、ご自身の経験から、母親の教育方針や言動に問題があった事を話していました。
高度な教育を受け、完璧な常識を身に着け、アナウンサーになった彼女の親に、何の問題があったのかと、自然に興味が湧いたのです。
それまでは、理由もなく子供に手を上げたり、育児放棄するだけが、問題のある親だと思っていたからです。
彼女の母親の話を聞いているうちに、私は喉が渇いてきて、徐々に体が固まっていくような感覚になっていきました。
そして、番組が切り替わっても、暫くは茫然とし、頭が混乱していました。
私と彼女の年齢が近いと思われることから、時代のせいもあるのでしょうが、母親の娘に対する考え方の多くが、私の母と重なっていたように思われたのです。
お母さんが私にしていた事って、悪い事だったの?と、真っ白になった頭に最初に出てきた思いがこれでした。
それからすぐに、色々なキーワードで検索をかけて、初めて毒親という言葉を知りました。
様々なサイトの毒親の情報に目が泳ぎ、ちゃんとした書籍で確かめたいと、読みやすいとあった「毒になる母親」(著)キャリル・マクブライト 訳)江口泰子)を読んでみようと思いました。
しかし、毒親についての知識は皆無だったのに、この本を読んでしまったら、全く想像のつかない、未知の世界に足を踏み込んでしまいそうな、不思議な怖さで、購入を躊躇していたのです。
一か月後、自分の気持ちを、これ以上誤魔化すことは止めようと、勇気をだしてその本を手に取りました。
とても読みやすく、優しく書かれたその本のお蔭で、静かな深い動揺と共に、両親が毒親なのだと知ることが出来ました。
その後、毒親についての多くの知識を得る度に、怒りと悲しみの中で、自分がアダルトチルドレンだと知るのでした。
<著者:KYO>