土曜日のうつ - 週末うつの具体的な対処法

週末うつの具体的な対処法

週末になると憂鬱になる。体を動かすこともできず一日中寝て過ごす。そんな週末うつに悩める人のために、金曜日、土曜日、日曜日と、曜日ごとの具体的な週末うつ対策をご紹介。


土曜日のうつへの対処法

~土曜日のうつへの対処法~
 
週末うつの中でも、
特に困りものなのが土曜日のうつ。
 
なぜかというと、
自分以外の周囲の人たちとの
気分の落差がもっとも激しくなりがちだからです。
 
働き方が多様化してきている
現在の日本の社会ですが、
 
やはり、まだまだ、
平日昼間にお仕事をして、
土日は連休というライフスタイルの人が
圧倒的に多いのが実情です。
 
土曜日は、
1週間の憂鬱な仕事から解放され、
丸1日自分の好きなことができて、
さらに翌日もお休み。
 
気分が盛り上がってしまうのも、
仕方のないことです。
 
そんな周囲の人たちは、
誰もかれもが土曜日を
楽しみにしていると信じ切っています。
 
そこで、
あなたに何の気づかいもなく、
容赦のない誘いをかけてきます。
 
これを断るのは、
本当にしんどい。
 
ただでさえつらいのに、
人に気づかいながら
対話しなければならないわけですから。
 
さらに、断ったら断ったで、
誘われる回数がだんだんと減っていき、
 
以後、一人さみしい土曜日を
過ごすことになる…。
 
周囲は楽しそうにしているのに、
自分だけが一人さみしく
家に閉じこもっている、
 
そんな切ない状況が、
週末ごとにやってきて、
土曜日のうつに拍車をかけていきます。
 
つまり、
誘われてもつらいし、
誘われなくてもつらい。
 
そんなやっかいな
板ばさみが土曜日のうつには
つきものなのです。
 
しかも、家族がいる場合、
さらに大変です。
 
平日の疲れで、
どっと疲れが押し寄せる中、
 
土曜日のうつに襲われて、
呼吸しているのがやっとのような状態。
 
そこに、
まだ小さな息子や娘から、
 
「どっかいこ~」
「あそぼ~」
 
とグイグイ手を引かれたり、
お腹に乗っかられたりする。
 
あまりにしつこいと、
ついついイライラして、
 
「疲れてるんだから!」
 
と大きな声を出してしまう。
 
子供には泣かれ、
夫や妻といったパートナーからは、
フォローされるどころか、
 
「かわいそうだよ!」
「遊んであげなよ!」
「約束してたでしょ!」
 
と責められ、
罪悪感にかられながら、
どうにもならない心と体を恨めしく思うだけ…。
 
ご本人にとっても、
家族にとっても、
本当にしんどい状況です。
 
週末のうつの中でも、
こんなにもやっかいな
土曜日のうつ。
 
そもそも、
その主な原因は、
いったい何なのでしょうか?
 
もちろん、それは、
心、体、環境という
さまざまな要因が
複雑にからみあっているわけですが、
 
その中でも、
憂鬱をぶり返す一番の要因として
よくあげられるのが、
 
『やり残した仕事』
 
が気になってしまう、
という要因です。
 
最近は、
ノー残業デーをもうけたり、
土曜日の出勤を禁止するなど
 
企業が積極的に、
社員のワークライフバランスに
介入するようになってきました。
 
しかし、金曜日の夜に、
翌週に何の心配ごとを残すことなく、
キッチリ綺麗に仕事を終えられる人は、
ほとんどいないのではないでしょうか。
 
その強引に断ち切ってきた
仕事のことが頭に残っていて、
ときどき、ひょっこり顔を出す。
 
しかもその〆切が
月曜日に設定されており、
週明けの一日で本当に終えられるのか、
とても心配だ…、
 
さらに、その提出先は、
苦手なあの取引先…、
 
そんな時には、
土曜日のうつが威力を増してしまいます。
 
家でやろうと思っても、
社内の規則で
出来ない場合もありますし、
 
そもそも、
仕事を持ち帰れても、
もはや、やる気力がまったくわかない。
 
不安や虚しさで押しつぶされそう。
 
家族からも協力が得られない。
 
やらなきゃ、やらなきゃと
焦る気持ちばかりが増していき、
結局なにも手をつけられず一日を過ごす。
 
そんな状況が、
土曜日のうつの大きな要因の
一つになってしまっているのです。
 
もちろん、同じ状況でも、
気にならない人は、
まったく気になりません。
 
「ま、何とかなるだろう」と
楽観的に考えられます。
 
しかし、
週末うつになる人は、
そんな簡単に割り切れません。
 
「何とかなるさ」と
無理やり割り切ろうとすることで、
余計に苦しくなってしまうことがあります。
 
何か他の具体策をとる必要がありますよね。
 
そこで、
土曜日のうつの
具体的な対処法をご紹介します。
 
それは、
 
『うつレコーディング』
 
です。
 
自分の土曜日のうつについて、
簡単にノートに記録していく方法です。
 
どんなに土曜日のうつが
強烈といえども、
一日中まったく同じ状態ではありませんよね。
 
人間の気分は一日の中で、
かなり大きく変動します。
 
天気や前日のできごとなどにも、
左右されます。
 
これをチェックし、
夜寝る前にノートに
簡単に書き記していくのです。
 
うつのときは、
冷静で論理的な判断が
できなくなっています。
 
だから、
やり残した仕事が心配なとき、
どんなに調子が悪くても、
何とか作業をしようとしてしまいます。
 
しかし、できない。
 
でも、やろうとする。
 
しかし、できない。
 
この悪循環が焦りとなり、
土曜日のうつを加速させてしまうのです。
 
そこで、
『うつレコーディング』によって、
自分の調子や周囲の状況を、
『客観的』に見られるようにしていきます。
 
この作業には、
脳の前頭前野が使われます。
 
前頭前野が活性すると、
不安や心配の原因の一つとなる
 
脳の『扁桃体』を、
しずめてくれることがわかっています。
 
そうして、
冷静になった頭脳で、
 
たとえ土曜日でも、
何時から何時くらいなら
動くことができる、
 
という自分の法則を
把握していくのです。
 
土曜日の中でも、
動ける時間帯があることを把握し、
 
どうしても仕事が心配で、
作業したいのならその時間までは
無理をせずに寝て過ごす。
 
家族にも、
その時間までは休ませてほしいと
言ってみる。
 
もしくは、その時間だけは、
心配な仕事に手をつけさせてほしいと
頼んでみる。
 
そんな風に
冷静に判断し行動できる余裕を、
持てるようになってきます。
 
また、
土曜日に動ける時間は
ほとんどないから、
家には仕事は持ち帰らない、
 
そのように、
『客観的』に割り切ることもできます。
 
努力や根性じゃ
どうにもならない、
 
動けない時間は
動けないと受け入れよう、
 
そんな冷静な判断が、
できるようになってくるのです。
 
言うなれば、
うつで元気をなくした
前頭前野のかわりを、
 
レコーディングノートに
してもらうわけです。
 
そのレコーディングノートが
もたらしてくれた冷静さや余裕が、
 
土曜日のうつの大きな要因を
だんだんと減らしていってくれる、
 
そして、
動ける時間が増えてくる、
 
その良い傾向を、
レコーディングノートを見ながら
実感していくことで、
 
さらに土曜日のうつが
怖くなくなっていく…、
 
そんな好循環が、
生まれてくるはずです。
 
レコーディングノートは、
毎日つけるとなると、
 
カウンセラーやコーチなしでは、
続けることはしんどいですけれども、
 
週末だけなら、
何とかなるという人が多いのです。
 
無理せず、
まずは土曜日だけの
『うつレコーディング』を
してみるのがよいかもしれません。
 
もし余裕が出てきたら、
平日にもチャンレンジしてみましょう。
 
次回は、
『日曜日のうつ』の
具体的な対処法をご紹介します。
 
 
<局長 信夫克紀 著>