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自由になったらアホになる - やりたいことなんて気の迷い

自由への挑戦 ‐ とことん正直に生きてみた

<著者:ちー>


8.自由になったらアホになる - やりたいことなんて気の迷い

 

┃心のギランバレー

 
私は気が付かないうちに、心もギランバレーになっていたのかもしれない
 
自分を守るために身に着けたはずの価値観が、いつの間にか自分を攻撃し始める 
 
責任感が過剰で、自分の責任と他人の責任の区別がつかない
 
努力信仰が強く、自分の限界が分からず、努力をやめられない
 
こういった真面目さが、自分の首を絞めていく
 
心の痛みを軽く扱ってはいけない
 
苦しいと感じることは、心の自己免疫が暴走しているサインなのだと思う
 
自分への攻撃がどこから生まれているのかを、いくら考えても分からなかった
 
だから、正攻法では戦えなかった
 
小さな違和感を信じて、直感にしたがって自分の中身をぶち壊すしかなかった
 
それは、自分の気持ちに正直に生きるということだった
 
軋轢を生んでも、自分を曲げないこと
 
常識を破り、道徳に背いてでも、嫌なこと苦しいことから逃げること
 
それらは、以前の自分が嫌悪してきた行いばかりだった
 
こうして、私は身勝手で泥臭い行動を繰り返して、自分を汚していった
 
みっともない現実をうけいれて、夢のような理想を捨てた
 
自分のことを現実的で冷めた人間だと思っていたが、それは大きな勘違いだった
 
私は最も肝心な根幹で、どこかファンタジーな世界を捨てきれず、フワフワと風船のように漂っていただけだった
 
そのことに気が付いた今は、重力を感じて、地面を足の指でしっかりと掴んで、前に進めるようになった
 
価値観の暴走が止まって、自分を守れるようになったら、以前よりも少し勇気がでてきた
 
そして、明日の自分を、少し楽しめるような気がした
 
 

┃自由になる

 
間違った価値観を捨てて、新しい価値観を持つことによって、私は自分の人生に腹をくくった
 
過去にいろんな背景を持つ様々な人のことなんて、分かりはしない
 
先のことをいくら考えてどんなに努力しても、未来の結果をコントロールすることはできない
 
だから、今できる目の前ことを精一杯やるしかない
 
行きついたのは、先人がよく唱えている、そんな当たり前の価値観だった。
 
頭で分かっている気になっていただけで、ぜんぜん腹に落ちていなかった
 
自分の身を汚して、失敗して、傷だらけになって、バケツ10杯分泣いて、ようやく実感できることだった 
 
こうして私は、過去からも、未来からも、自分自身からも、自由になった
 
 
 
 
仕事探しがどうでもよくなったころ、偶然目にした求人情報で、あっさりパートの採用が決まった
 
自分の理想に近い従業員の常駐人数の少ない、こじんまりした会社だ
 
あんなに必死だったときには決まらず、どうでもいいと思い始めた途端に決まった
 
人間関係にも恵まれて、毎日ストレスを感じることなく働いている
 
つくづく、仕事探しは運とタイミングが多くを占めると感じた
 
あたらしい職場では自分を繕わず、なるべく正直でいようと心がけている
 
私は今、社長から自由な人と呼ばれている
 
私の自由を尊重してくれる社長に感謝している
 
今思えば、我慢ばかりしていたころは、人に感謝されることばかりを望んでいて傲慢だった
 
わがままをいったり、周りに迷惑をかけたりして、自分が満たされた気持ちになって、はじめて有り難いという感謝の気持ちが理解できた気がする
 
 

┃自由になったらアホになる

 
ボランティアライター(このコラム)なんて、どうして応募しちゃったんだろう
 
初日から後悔し始める
 
題名二つと8話分の目次を考える課題が出る
 
うへ―
 
慣れないパソコンでのメールのやり取り
 
気が重い
 
しかも、なんで泣きながら何十時間もかけて、文章を書いてんの?
 
読み返せば読み返すほど、文章がつまらない
 
素人の文章なんて、誰も読まないかもしれない
 
いつまで書いても終わらない
 
修正依頼にへこむ
 
始めたからにはリタイアしたくない
 
本当に、何やってんだろうな-
 
アホだ
 
自分にあきれる
 
 
後先を考えられない
 
こういう人物のことを、通常アホと呼ぶ
 
私は手に入れた自由と引き換えに、アホになるしかなくなっていた
 
 
でもさ、仕方がないよね
 
自分がやってみようかなって、思っちゃったんだから
 
心の声が聞こえたからには、行動しないと
 
理由なんて後付けで、いくらだって操作できる
 
それでいいと思った
 
やりたかったからやってみただけ
 
え?
 
これが私のやりたいこと?
 
そんな大げさなものではないな
 
どちらかといえば、気の迷いだ
 
やりたいことなんて、そんなに構えて目指すようなものじゃないのかもしれない
 
ちょっとやってみようかな
 
そんな風に思ったことは、意外と的をはずさないと思う
 
 
さあ、連載もいよいよ終わりだ-
 
今日は8話を書ききった自分へのご褒美に、一人でウナギを食べてビールを飲むぞ!!
 
ヒャッホーーー!!
 
明日からは、何をしよっかな―!
 
<著者:ちー>