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うつ病を受け入れられない

勝ち組なのに苦しいのはなぜ ~毒親とアダルトチルドレンからの脱出~

<著者:KYO>

 1.うつ病を受け入れられない

 

│うつ病の始まり

 
30代も後半に差し掛かる頃、結婚生活も仕事も完璧と思っていた人生が音を立てて崩れ去ろうとしていた時でした。
 
心身ともに疲れ切っていたある日、あまりの倦怠感に仕事中に内科を受診してみると
「過労ですかね」との診断で、30分程点滴を受けて体はだいぶ楽になりました。
 
3日間点滴を受けた後、医師から「精神的な問題からきているように思います。心療内科を調べておきましたので、是非そちらで診てもらって下さい」と告げられました。
 
その瞬間、心療内科という言葉をどう捉えたらいいのか頭の中は大混乱でした。
 
心療内科って心の病気の人が受診する科よね?
うつ病とかの人が行くのよね?
…えっ?嘘でしょ?私がうつ病?
ちょっと待って、先生。ちょっと待って、ちょっと待って…
 
サァーっと血の気が引く感覚を覚えながら「ただの疲れだと思うのですが」と頑張ってみましたが、先生は黙って首を横に振っていました。
 
「点滴をしながら頑張って仕事をするわたし」を心療内科という四文字がいとも簡単に奈落の底に突き落とし、帰り道はどう脚を動かせば歩けるのかを必死で考えなければなりませんでした。
 
体や精神的に辛い思いをしている方を偏見の目で見ないように育てられ、そう生きてきたつもりだったのに、なんと私は偽善者で上から目線で生きていたのだと思い知りました。
 
 

│初めての心療内科

 
心療内科への受診を勧められてから動悸がひどくなり、徐々にじっとしていられなくなりました。
 
会社にはただの体調不良という事にして、初めて心療内科を受診しました。
待合室は私の知っている病院のそれと変わりありませんでしたが、診察室は一変して落ち着いたソファーセットと大きな本棚に囲まれていました。
 
この独特の雰囲気が「あなたはうつ病患者ですよ。健康な精神状態ではないのですよ」と宣告されているようでした。
 
ただ茫然と、どうにかしなくちゃと焦りながら、うつ病を認めたら生きていけない気がして怯えていました。
 
うつ病を患った自分をどう受け入れていいか、全く分からなかったのです。
 
今まで「忙しくてうつっぽくなっちゃうよね」などと何気なく使っていたのに、一度も心の病について正しく知ろうとしなかった事がとても悔やまれました。
 
そして2年間の休職から退職へと闘病生活が始まりました。
 
<著者:KYO>