ついに克服へ

私がうつ病を克服した経験

私が、いかにしてうつ病を自分で克服したのか。 自らのうつ病克服方法を語る、体験記です。


10.ついに克服へ

~私がうつ病を克服した経験~
 

私は、感情の取り扱い方として、
考え方の大もとに働きかける習慣を
教えてもらいました。

一つ一つの考え方を取り出して
それを直していくのではありません。

一つ一つの考え方のもとになっている
大もとの考え方のクセを見つけて
働きかけるという習慣でした。

具体的には、いかに今自分が、
自由に選択できる状態なのかを
自分にしっかりと気づかせるという方法でした。

これが私には、ものすごくききました。

あれだけ開けるのに苦しんでいた
心の奥底の鍵があいたのです。

それは、決して
薬での治療やカウンセリングが
間違っていたわけではなく、
やり方の違いなんだと感じました。

また、時間の余裕を生み出すための
習慣を教えていただいたこともあります。

行動の優先順位表を作って
持ち歩くという習慣です。

この頃私は、
迷って迷ってどんどん時間がなくなり
焦りもどんどん大きくなる悩みを抱えていました。

優先順位表は、
そんな迷うストレスから解放され
時間と心の余裕を生みだしてくれるものです。

でも、優先順位の基準に驚きました。

自分の好きなものや
やりたいことではないのです。

中毒性が高いか低いかで、
決めていくのです。

要するに、体の仕組みに合わせて
穏かになれるかなれないかで
決めていくのが大切なんだそうです。

これによって、私は、
中毒性の高い行動はなるべく避けて、
穏かでいられる行動を優先できるように
なっていきました。

さらに驚いたのが、
色々なお金を稼ぐ方法を教えてもらいました。

もうけ方ではありません。

必要なお金を稼ぐための
様々な社会の仕組みについて、
レクチャーしてくださったのです。

私はこの時、失業手当が切れるまでに
何とか体調をよくしないとと必死でした。

でも、必要なお金を稼ぐ方法が
日本にはたくさんあるんだという
ことを知りました。

その安心感を得られたことで、
お金の不安がかなりふりはらわれました。

その後、
私は実際にその中の一つを試して、
今はその仕事をしています。

また、福祉サービスの
有効な利用方法についても
教えていただきました。

いざとなれば助けてもらえる
制度や団体があることを知り、
私にはとても支えとなりました。

さらに、これらの方法や考え方を、
日常習慣として定着させる方法も
教わりました。

やり方はとても簡単で、
決められた習慣をちゃんと実践したら
寝る前にノートに丸印をつけておく。

そして実践した時に、
どれくらい気持ちよかったか
思い出しながら書く。

そして、それをコーチに見せる。

たったこれだけでも、
今までネガティブ思考から
抜け出せなかった心が、
どんどん明るく穏かになっていきました。

その後も色々な習慣を身につけ、
予定の3ヶ月が過ぎましたが、
期間を延長して通い続けました。

そしてついに、私は、
新しい仕事にも就くことができ、
うつ病を克服することができたのです。

以前のように、
もとの生活パターンに戻ったわけではありません。

新しい人生を始めた、
まさにそんな感じでした。

それから1年。

1度目と2度目の回復のあとに
何となくつきまとわれていた
心の奥の憂鬱な感覚は消えさりました。

うつ病も、再発する気配すらありません。

もちろん、最初にうつ病になった
環境に戻ったら、また再発して
しまうのかもしれません。

でも、もう戻ることはありません。

私は、私に合った生活習慣、
私に合った環境がわかるようになったからです。

それが一番の喜びです。

嫌なことや、つらいことは、
相変わらずたくさんあります。

人よりもやっぱり恐がりだと思います。

それでも今は、
人生が心地いいと
ハッキリ言うことができます。

私の経験になりますが、
うつ病を克服する方法とは、
習慣を変えることだと思います。

しかも、生活習慣全体を、
同時に変える必要があります。

ほんの少しずつでもいいから、
すべてを同時に変えていくことが
うつ病の克服につながると思います。

また、医療やカウンセリング、
コーチングなど毛嫌いせずに
それぞれ良いところを取り込んでいくこと。

そして、一番は、
考えるだけでなく何とか行動にうつすこと。

私も、病院に行くとき、
カウンセリングに行くとき、
ワークショップに行くとき、
コーチングを受けるとき、
はじめは、かなり迷いました。

初めて行く時は、
本当にドキドキしました。
冷や汗も出ました。

でも、行かなければ、
今の私は無かったと思います。

どれ一つ欠けても、
うつ病を克服できなかったと思います。

私のつたない文章で、
その大切さがどれくらい
伝えられたかは解りません。

でも、今回書かせていただいた
うつ病の克服の過程が
ほんの少しでもみなさんのお役に立つ
情報になったのなら本当に嬉しいです。

最後までお付き合いいただき、
本当にありがとうございます。

 
  
<高木慶子 著>