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後ろ向きなままでいい

うつをやり過ごす50の方法

うつ病歴10年以上の人が書いた、ツラいうつをやり過ごすリアルな知恵


特徴2:後ろ向きなままでいい

~後ろ向きなままでいい~
 
“50の方法”は、考え方を
無理に前向きにする手法ではありません。

言い換えれば、

「やせガマンしなくてもよい手法」
 
です。

私たちには、
考え方のクセがありますよね。

この考え方のクセによって、
前向きな性格、後ろ向きな性格など、
人の性格を区別しています。

「うつ発作」におそわれた時は、
誰もが後ろ向きな性格に早がわりしてしまいます。

もだえんばかりにツラいのに、
そのツラさを抱えながら
これから仕事や家事を
こなさなければならないわけです。
 
まさにお先真っ暗。

後ろ向きになるのも当たり前。

この状況で、
明るく前向きになれる人がいたら、
その人は、少なくとも
地球上の生物ではないかもしれませんね。

ちなみに私は、
なかなか前向きな性格の人間なのです。
 
ただ、「うつ発作」に
おそわれているあいだは、
全日本マイナス思考選手権大会を
全試合一本勝ちで
3連覇する自信があるくらい、
後ろ向きな性格の人間に変わってしまいます。

あなたはどうでしょうか?
 
「うつ発作」におそわれると、
私たちは何とかしなければと焦り、
ついつい前向きな考え方をしようと
無理な努力を始めてしまいますよね。
 
前向き思考自体は大変素晴らしいものです。
 
それを実践するために口にする
オマジナイのようなものも
人によっては効果があるものですよね。

例えば有名な言葉で「ツイてる!」
というオマジナイがあります。

この「ツイてる!」という言葉は、
唱えていれば自分の幸運さに
どんどん気づいていくことができる素敵な言葉です。

ただ、うつ発作の最中に
とっさに
 
「ツイてないなぁ~」
 
と実感したことを
 
「ツイてる!」
 
と言い直すことは、
ことのほか労力がいります。

なかなかしんどい。

これは、「うつ発作」にみまわれ
絶好調に後ろ向きになっている時は、
避けた方がよい手法でしょう。

実際はツラいのに
 
「ツラくない」
 
どころか、
 
「楽しい」
「ラッキー!」
 
というところまで
自分を鼓舞するわけです。

これではさらに
苦しくなっても当然でしょう。

これは、単なるやせガマンです。

「ツイてる」
 
とか
 
「今日はいい一日になるぞ!」
 
といくら考えてみても、
少なくとも「うつ発作」に
おそわれている間はいい気分な訳がないですよね。
 
素直に、

「ああ、ツラい・・・」
 
と思ってしまっていいのです。

そして、
「ああ、ツラい…」と思ったまま、
実践できるのが“50の方法”の特徴です。

当然、
ツラいままでは何も解決されないので、
前向きなオマジナイと同様に
“50の方法”特有のオマジナイをとなえます。

同じオマジナイでも、
前向きな気分に転換するものではありません。

自分に今できること、
自分の強さや偉大さという事実を、
自分に教えてあげるオマジナイ。

事実に気づくオマジナイです。

「50の方法」は、前向きな方法ではありません。

だから、しんどくないのです。
 
 
<局長 信夫克紀(しのぶ かつのり)著>